加熱殺菌や低温調理で食肉の中心温度が設定温度になるまでの所要時間
加熱殺菌や低温調理で食肉の中心温度が設定温度になるまでの所要時間

法律で定められている63℃30分以上や75℃1分以上の加熱または同等以上の加熱殺菌条件、細菌ごとに示されているD値など、それぞれの加熱時間は食品の中心温度が設定温度になっていることが基準になります。

食品工場での加熱殺菌処理工程および個人を含め低温調理を行う際は、食品の中心温度を計測し管理することが食中毒防止に重要となります。

ここでは、参考データとして、中心温度までの到達時間について説明いたします。

食肉の中心温度が設定温度になるまでの所要時間

この表は、解凍された状態から湯煎を開始し、食肉の中心温度が湯煎温度の-0.5℃に到達するまでに要する時間を表します。

到達時間は食肉の厚さにより大きく変わりますが、脂肪量などの条件も影響されます。
あくまで目安時間として、実際は中心温度計にて測定を行ってください。

※湯煎温度は45℃~80℃とします
※熱拡散率は約\(1.4×10^{-7} (m^2/s)\)
※表面熱伝達係数は\(95 (W/m^2・k)\)

厚 さ 板 状 円柱状 球 状
  5mm 5分 5分 4分
 10mm 19分 11分 8分
 15mm 35分 18分 13分
 20mm 50分 30分 20分
 25mm 1時間15分 40分 25分
 30mm 1時間30分 50分 35分
 35mm 2時間 1時間 45分
 40mm 2時間30分 1時間15分 55分
 45mm 3時間 1時間30分 1時間15分
 50mm 3時間30分 2時間 1時間30分
 55mm 4時間 2時間15分 1時間45分
 60mm 4時間45分 2時間30分 2時間
 65mm 5時間30分 3時間 2時間15分
 70mm 3時間30分 2時間30分
 75mm 3時間45分 2時間45分
 80mm 4時間15分 3時間
 85mm 4時間45分 3時間30分
 90mm 5時間15分 3時間45分
 95mm 6時間 4時間15分
100mm 4時間45分

加熱殺菌と冷却保存

「大量調理施設衛生管理マニュアル(厚生労働省)」では、加熱調理食品の加熱温度管理として 、加熱調理食品は中心部温度計を用いるなどにより、中心部が75℃で1分間以上(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85~90℃で90秒間以上)又はこれと同等以上まで加熱されていることを確認するとともに、温度と時間の記録を行うことと示されています。

また、調理済み食品の温度管理として、加熱調理後、食品を冷却する場合には、食中毒菌の発育至適温度帯(約20℃~50℃)の時間を可能な限り短くするため、冷却機を用いたり、清潔な場所で衛生的な容器に小分けするなどして、30分以内に中心温度を20℃付近(又は60分以内に中心温度を10℃付近)まで下げるよう工夫することとされています。

中心温度の測定方法

加熱調理食品の中心温度及び加熱時間の記録マニュアルでは、調理中に食品の中心温度を3点以上測定し、すべてが75℃以上にあることを確認後、1分以上加熱する(二枚貝等、ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85~90℃以上にあることを確認後、90秒以上加熱する)ことされています。

(加熱調理食品の中心温度及び加熱時間の記録マニュアル)

1.揚げ物
① 油温が設定した温度以上になったことを確認する。
② 調理を開始した時間を記録する。
③ 調理の途中で適当な時間を見はからって食品の中心温度を校正された温度計で3点以上測定し、全ての点において75℃以上に達していた場合には、それぞれの中心温度を記録するとともに、その時点からさらに1分以上加熱を続ける(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85~90℃で90秒間以上)。
④ 最終的な加熱処理時間を記録する。
⑤ なお、複数回同一の作業を繰り返す場合には、油温が設定した温度以上であることを確認・記録し、①~④で設定した条件に基づき、加熱処理を行う。油温が設定した温度以上に達していない場合には、油温を上昇させるため必要な措置を講ずる。

2.焼き物及び蒸し物
① 調理を開始した時間を記録する。
② 調理の途中で適当な時間を見はからって食品の中心温度を校正された温度計で3点以上測定し、全ての点において75℃以上に達していた場合には、それぞれの中心温度を記録するとともに、その時点からさらに1分以上加熱を続ける(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85~90℃で90秒間以上)。
③ 最終的な加熱処理時間を記録する。
④ なお、複数回同一の作業を繰り返す場合には、①~③で設定した条件に基づき、加熱処理を行う。この場合、中心温度の測定は、最も熱が通りにくいと考えられる場所の一点のみでもよい。

3.煮物及び炒め物
調理の順序は食肉類の加熱を優先すること。食肉類、魚介類、野菜類の冷凍品を使用する場合には、十分解凍してから調理を行うこと。
① 調理の途中で適当な時間を見はからって、最も熱が通りにくい具材を選び、食品の中心温度を校正された温度計で3点以上(煮物の場合は1点以上)測定し、全ての点において75℃以上に達していた場合には、それぞれの中心温度を記録するとともに、その時点からさらに1分以上加熱を続ける(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85~90℃で90秒間以上)。
なお、中心温度を測定できるような具材がない場合には、調理釜の中心付近の温度を3点以上(煮物の場合は1点以上)測定する。
② 複数回同一の作業を繰り返す場合にも、同様に点検・記録を行う。

引用:大量調理施設衛生管理マニュアル(厚生労働省)

まとめ

最も美味しい肉の調理方法として話題の低温調理は60~65℃を推奨されていますが、それ以上の高温で長時間の加熱調理を行うとタンパク質の変質により食肉が硬化してしまいます。

加熱・冷却ともに、食肉が厚くなるほど目標の中心温度までの所要時間が大きくなりますので、できるだけ小分けして効率的に処理しましょう。

弊社の「ゴンドラ連続式ボイルクール装置」は、加熱殺菌・冷却、真空加熱調理などを効率的に連続処理できます。

topics

 

連続式ボイルクール/殺菌洗浄

「ボイル+冷却」「洗浄+殺菌」「加熱+殺菌+すすぎ」等を連続処理する安全で効率の良い装置があります。
加熱温度・時間、冷却温度・時間、殺菌時間、洗浄時間など希望通りの仕様にて格安で製作可能です。

根菜、果実、農産物などの加熱冷却の他、調理加工品、ゼリー等の調理及び加熱殺菌に最適。また、「セリウスソフト水生成装置」を利用した連続式殺菌洗浄装置としても実績があります。

(参考文献)

Sous vide cooking: A review(Douglas E.Baldwin)International Journal of Gastronomy and Food Science Volume 1, Issue 1, Pages 15-30
連続式ボイルクール装置の施工事例
連続式ボイルクール装置

連続ボイルクール装置 BC-4000
ボイル殺菌&冷却を連続して行うため大量処理を高効率で実現!
ポンプ循環方式で温度ムラ無し!商品の品質向上に抜群の威力です
商品が入った樹脂コンテナ等をそのままゴンドラへ乗せるだけで、ボイル&冷却工程が連続して行われるため高効率・省力化が実現できます。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事