今回は、弊社ゴンドラ連続式液体凍結装置の実機にて、マグロ冊の急速凍結試験を行いました。
試験は実際に凍結処理を行っているお客様の工場で稼働中の液体凍結装置にて実施しましたので、30分間の凍結時間となっています。
目 次
マグロ冊の急速凍結試験条件
- 生産稼働中の実機ゴンドラ内に収納
- 処理時間30分
- ブライン温度マイナス25℃
- ジップロックに入れ軽く脱気(真空包装すると更に良い凍結になります)
マグロ冊の急速凍結試験結果
解凍後の比較(液体凍結と緩慢凍結)
1. 業務用冷凍庫(緩慢凍結)で24時間凍結後に常温解凍したマグロ冊の画像
2. 連続式液体凍結装置(急速凍結)で30分間凍結後に常温解凍したマグロ冊の画像
業務用冷凍庫による凍結~解凍
業務用冷凍庫で緩慢凍結されたマグロ冊を解凍すると、瑞々しさが損なわれ、パサつきやドリップの流出が見られました
連続式液体凍結装置による凍結~解凍
連続式液体凍結装置で急速凍結されたマグロ冊を解凍すると、生マグロとの差がわからないほど瑞々しく、ドリップの流出もほとんどありませんでした
マグロ冊の急速凍結グラフ
マグロ冊(110g)の中心温度をデータロガーで収集しグラフ化したものです。
細胞破壊の大きな要因である最大氷結晶生成帯(0℃~マイナス5℃)の通過速度は、業務用冷凍庫で約96分要したのに比べ、連続式液体凍結装置では約7分で通過していました。
マグロ冊の急速凍結結果
今回の試験で、液体凍結はマグロ冊の凍結にも効果的で、細胞破壊を最小限にとどめることがわかりました。
細胞破壊のない優れた凍結は、凍結温度ではなく如何に中心温度の「最大氷結晶生成帯」を素早く通過させるかで決まります。
マイナス50℃やマイナス60℃の冷風で急速凍結するよりも、熱伝導の優れたマイナス30℃前後の液体で360°全方位から接触し凍結させる液体凍結のほうが、格段に早くエネルギーコストが少ない効率的な凍結を実現することできるのです。
獲れたての新鮮な状態で急速凍結された「冷凍マグロ」は保管や流通で品質が落ちることはありませんので、「生マグロ」の状態で冷蔵保存されたものと比較しても劣ることはありません。
漁獲枠が厳しくなってきているマグロですが、時間の経過に影響されることなく常に新鮮な美味しさを封じ込めた高品質な「冷凍マグロ」として付加価値を付けることが出来るのではないでしょうか。
急速液体凍結装置について
氷結晶生成帯の通過スピードが遅く細胞を破壊してしまうエアーブラスト方式と比較し、熱伝導率が圧倒的に高い液体による凍結は氷結晶による細胞破壊が極少です。
凍結保存における素材・風味低下の最大要因である凍結時の細胞破壊を大幅に防ぐことによりドリップが低減され、発色・風味ともに生に近い品質で解凍することができます。