食品添加物の種類と役割について 食品添加物一覧と安全性を解説

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食品添加物と聞けば、何となく「身体にあまり良くないもの」というイメージを持つ人が多いかも知れませんが、人々はずっと古くから、塩漬け、干物、燻製、砂糖漬け、酢漬け、発酵、植物による色や香り付けなど、食品の保存や加工に工夫をしてきました。

実は現代における豊かな食生活は、調味料、保存料、着色料などの食品添加物があってこそであり、もちろん安全と認められた品目や量しか使用してはいけないことになっています。

今回は、食品添加物の種類と役割や安全性について解説したいと思います。

食品添加物とは

食品添加物は、食品衛生法第4条第2項において、「食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するものをいう。」と定義されています。

食品添加物の分類

食品衛生法で定められている食品添加物は、指定添加物既存添加物一般飲食物添加物天然香料に分類されています。

食品添加物の分類

指定添加物

食品衛生法第10条に基づき、厚生労働大臣が使用して良いと定めた食品添加物です。
令和元年6月6日改正時点で、463品目が「指定添加物リスト」として登録されています。

公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
指定添加物リスト(規則別表第1)

既存添加物

指定添加物以外で、長年使用されていた実績があるものとして厚生労働大臣が認めたものは、「既存添加物名簿」として使用することが認められています。
平成29年11月30日改正時点で、365品目が「既存添加物名簿」として収載されています。
安全に問題のあるもの、使用実態のないものについては、名簿から消除されることがあります。

公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
既存添加物名簿収載品目リスト・食品表示基準情報等一覧

天然香料

花・草木・果実などの植物、ビーフ・ポーク・チキンなどの食肉類、カツオブシ・ホタテ貝などの魚介類、エビ・カニなどの甲殻類から抽出された天然の添加物で、香料として長年の食経験において健康被害がないとして使用が認められているものです。

公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
天然香料基原物質(消食表第337号別添2)

一般飲食物添加物

果汁や野菜ジュースを着色料として使用したり、コンニャク抽出物を増粘安定剤として使用するなど、一般の飲食原料を添加物として使用するものです。
食品衛生法第10条では、「一般に食品として飲食に供されているもので添加物として使用されるもの」と定義されています。

公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
一般飲食物添加物リスト

食品添加物の主な役割と必要性

食品添加物として使用できる品目や添加量は食品衛生法によって厳しく決められていますので、食品添加物の摂取が原因で病気になることはありません。

食品添加物の主な役割4つ

  1. 食品の保存性を良くする(保存料、酸化防止剤、防かび剤など)
  2. 食品の風味や外観を良くする(甘味料、着色料、香料など)
  3. 食品の栄養価を高める(ビタミン、カルシウムなど)
  4. 食品の製造加工に必要(消泡剤、pH調整剤、膨張剤、乳化剤など)

なお、使用できる食品や使用量等の最大限度、使用制限などの使用基準は「各添加物の使用基準及び保存基準」にて示されています。

食品添加物使用基準

各添加物の使用基準及び保存基準(令和元年6月6日改正まで記載)
(厚生省告示第370号 食品、添加物等の規格基準より抜粋)

食品添加物の安全性

新たに指定される食品添加物は、メーカーが厚生労働省に申請し、厚生労働省は、食品安全委員会が行うリスク評価を受けて、使用基準を設定し、食品添加物として指定します。食品安全委員会は、動物又はヒトでの安全性試験の結果に基づいて無毒性量(NOAEL)を求め、推定一日摂取量と比較して許容一日摂取量(ADI)の特定が必要かどうかを検討し、必要な場合にADIを設定します。
厚生労働省は、使用が認められた食品添加物について、国民一人当たりの摂取量を調査して、許容一日摂取量(ADI)の範囲内であることを確認しています。

食品添加物の指定等の流れ

なお、食品添加物の指定及び使用基準改正に関する基本的考え方は、「厚生労働省 食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針(別添)」により以下の通り示されています。

1.安全性
食品添加物の安全性が、要請された使用方法において、実証又は確認されること。

2.有効性
食品添加物の使用が、次のいずれかに該当することが実証又は確認されること。なお、対象となる食品の製造又は加工の方法の改善・変更が比較的安価に実行可能であり、改善・変更した結果その添加物を使用しないですむ場合を除く。
(1)食品の栄養価を保持するもの。
ただし、(2)に該当する場合又はその食品が通常の食事の中で重要なものでない場合には、食品中の栄養価を意図的に低下させることも、正当と認められる場合がある。
(2)特定の食事を必要とする消費者のための食品の製造に必要な原料又は成分を供給するもの。
ただし、疾病の治療その他医療効果を目的とする場合を除く。
(3)食品の品質を保持し若しくは安定性を向上するもの又は味覚、視覚等の感覚刺激特性を改善するもの。
ただし、その食品の特性、本質又は品質を変化させ、消費者を欺瞞するおそれがある場合を除く。
(4)食品の製造、加工、調理、処理、包装、運搬又は貯蔵過程で補助的役割を果たすもの。
ただし、劣悪な原料又は上記のいずれかの過程における好ましからざる手段若しくは技術(非衛生的なものを含む。)の使用による影響を隠ぺいする目的で使用される場合を除く。

厚生労働省 食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針(別添)より抜粋
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syokuten/960322/betu.html

安全性を確認するための主な試験

食品添加物の安全性は厳しい毒性試験により評価されています。

安全性を確認するための主な試験

食品に使用できる添加物の量は、動物実験で食品安全委員会や国際的な機関が無害と確かめた量(無毒性量)の通常 1/100 の量を、毎日食べ続けても安全な量(1日摂取許容量)としています(リスク評価)。
さらに、この量をこえないように、厚生労働省により使用基準が決められています(リスク管理)。
このように、食品添加物はすべて科学的な根拠に基づきリスク評価され、リスク管理されています。

無毒性量(NOAEL)
(No Observed Adverse Effect Level)ともいいます。
ラットやマウスなどの実験動物を使って、有害な影響が見られない最大の用量をいいます。

1日摂取許容量(ADI)
ADI(Acceptable Daily Intake)ともいいます。
この 1 日摂取許容量は、無毒性量の通常1/100としてもとめられます。一生食べつづけても安全と認められた量を体重1キログラムあたり1日に何ミリグラムまでとあらわされます

まとめ

食品添加物は、食品の保存期間を長くしたり、色彩や風味を良くするなど、様々な役割があります。また、特定の食品を作ったり加工したりする際に、なくてはならない物もあります。
食品添加物と聞いて身体に悪そうな印象を持っていた方も、今回の記事を読まれて少しはイメージが変わっていただければと思います。

 

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