ウエルシュ菌の死滅条件 ウエルシュ菌食中毒の原因と予防
ウエルシュ菌の死滅条件 ウエルシュ菌食中毒の原因と予防
ウエルシュ菌(Clostridium perfringens )は、人や動物の腸管内に存在する常在菌で、土壌のほか、下水、河川、海などの自然環境に広く分布します。

ウエルシュ菌食中毒は、加熱処理でも死滅しない耐熱性の芽胞により発生します。
また、大気レベルの酸素濃度では死滅する偏性嫌気性菌に属しますが、芽胞形成されると生き延びます。

今回は、ウエルシュ菌の死滅および育成条件とウエルシュ菌による食中毒について解説いたします。

ウエルシュ菌

出展:国立感染症研究所

ウエルシュ菌食中毒の特徴

一般名:ウエルシュ菌
菌種名:Clostridium perfringens
染色性:グラム陽性
酸素要求性:偏性嫌気性
形 状:桿菌
芽胞形成:形成する(ただし、人工培地中ではほとんど形成しない)

100℃5時間でも生残する耐熱性芽胞を形成し育成環境になると発芽増殖します

人の便や家畜の糞便、魚からも検出され、食品では特に食肉(牛、豚、鶏肉など)の汚染が多くみられます。

ウエルシュ菌は熱に強い芽胞形成菌ですが、100℃数分の加熱で死滅する易熱性芽胞形成ウェルシュ菌と、100℃5時間以上の加熱でも生存する耐熱性芽胞形成ウェルシュ菌があり、食中毒の原因はこの生き延びた耐熱性芽胞形成ウェルシュ菌によるのもとなります。

加熱調理後の常温放置による発芽が主な原因となり、大量調理を行う施設での事例が多いため、大規模な食中毒事件を起こす特徴があります。

ウエルシュ菌の死滅条件

豚肉の場合
増殖型(栄養型)
\(D_{55} = 16.3 min\)(6D:97.8分 , 7D:114.1分)
\(D_{60} = 8.5 min\)(6D:51.0分 , 7D:59.5分)
\(D_{65} = 0.8 min\)(6D:4.8分 , 7D:5.6分)
\(Z = 7.7 ^\circ C\)

芽胞型(耐久型)
\(D_{90} = 30.6 min\)(6D:183.6分 , 7D:214.2分)
\(D_{95} = 9.7 min\)(6D:58.2分 , 7D:67.9分)
\(D_{100} = 1.9 min\)(6D:11.4分 , 7D:13.3分)
\(Z = 8.3 ^\circ C\)

(OWL)

D値は食品および条件により変わります。特に、耐熱性芽胞については、
最大で、\(D_{100} = 13 min\)(ICMSF.1996)、\(D_{100} = 43 min\)(anses.2010)となっており
ansesのMicrobiological hazards filesから、殺菌レベル7Dを算出すると100℃で5時間以上ということになります。

※D値は、菌株量、pH、脂肪量、水分活性その他の要素で異なります
※D値は生菌数を1/10に減らすために必要な時間です
※Z値は加熱時間D値を1/10 する為に必要な温度です
※6D:6D reduction、7D:7D reduction

ウエルシュ菌の発育条件

発育条件 発育至適条件
温度域 pH域 水分活性 温度域 pH域 水分活性
ウエルシュ菌 10~52℃ 5.0~8.3 0.97 43~45℃ 6.0~7.5 0.98

発育条件(anses)、発育至適条件(農林水産省)

芽胞を形成するため通常の加熱調理条件(中心温度 75 ℃ 1 分以上)では死滅しません。

※pH:1~14まであり、pH7が中性、7未満が酸性、7を超えるとアルカリ性となります。
※水分活性:食品の水分は%で表さないで、食品中で微生物が生育するために利用できる水分割合を示す水分活性Aw(Water activity)として表示されます。

ウエルシュ菌食中毒の潜伏期間

6~18時間(平均10時間)となります。

(国立感染症研究所)

ウエルシュ菌食中毒の汚染経路

ウエルシュ菌は、人や動物の腸管内に存在する常在菌で、土壌等の自然環境や農産物・畜産物・水産物等にも広く分布しており、汚染された食肉・魚介類・野菜など多種の食品が感染経路となっています。

ウエルシュ菌食中毒の原因食品としては、食肉・魚介類及び野菜類を使用した煮物やカレー・シチューなどが多く、加熱調理後そのまま放置することによって、ウエルシュ菌が増殖することによるものです。

原因食品として多いのは、カレー・シチュー・煮物などの加熱調理後の放置
原因施設として多いのは、食品工場・飲食店・仕出屋・旅館などの大量調理施設

ウエルシュ菌食中毒の発症菌数

推定発症菌量は\(10^8~10^9\)CFU/gと言われていますが
EFSAでは\(10^6~10^7\)CFU/g、国立感染症研究所やFDAでは\(10^5\)CFU/gの喫食で発症するとの報告があります。

※CFU/g:CFU(Colony Forming Unit)は菌量の単位で、1g中の菌の個数を表します。

ウエルシュ菌食中毒の主な症状

6~18 時間(平均 10 時間)の潜伏期間を経て、腹痛と下痢等を発症し、ほとんどの症状は一般的に軽く、1~2日で回復します。
発熱や嘔吐はほとんどみられませんが、基礎疾患のある患者、特に子供や高齢者ではまれに重症化することがあります。

(食品安全委員会)

ウエルシュ菌食中毒の予防

ウエルシュ菌は耐熱性の芽胞を形成するため調理温度では死滅しません。
加熱調理された食品でも室温で放置すれば芽胞が発芽し増殖型(栄養型)に変化してしまいます。

したがって、ウエルシュ菌食中毒の予防には以下が有効とされます

ウエルシュ菌食中毒の予防

  1. 食材は十分に洗浄してから使用する
  2. 加熱調理前の食材は室温で長時間放置せず冷蔵庫で保管する
  3. 加熱調理の際は十分に加熱し芽胞以外の菌(栄養型)を死滅させる
  4. 加熱調理後に保存する場合は、小分けして急速に冷却し、2時間以内に冷蔵庫へ入れるか、55℃以上で保存し、保存期間は可能な限り短くする

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(参考文献)
NIID 国立感染症研究所 ウエルシュ菌感染症とは
MAFF 農林水産省リスクプロファイルシート ウエルシュ菌
FSC 食品安全委員会ファクトシート ウエルシュ菌食中毒
東京都福祉保健局 ウエルシュ菌
MHLW 厚生労働省
JFHA 公益社団法人日本食品衛生協会
JFIA 一般財団法人食品産業センター 危害要因管理
Food and Drug Administration(FDA-United States)
European Food Safety Authority(EFSA-European Union)
Ministry for Primary Industries(MPI-New Zealand)
Data sheet on foodborne biological hazards(anses-France)
U.S. DEPARTMENT OF AGRICULTURE(USDA-United States)
Centers for Disease Control and Prevention(CDC-United States)
European Centre for Disease Prevention and Control(ECDC-European Union)
National Center for Biotechnology Information(NCBI-U.S. National Library of Medicine)
The International Commission on Microbiological Specifications for Foods (ICMSF-the Commission)
Public Health England(PHE-England)
Lemgo D- and z-value Database for Food(OWL University of Applied Sciences and Arts)
 
 
 

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