今回は、急速凍結試験機で包装した状態のいちご凍結試験を実施しましたので、凍結した結果をご紹介します。
特に、いちごは収穫してから美味しく食べられる時期が短く、冷蔵保存では3日ほどで傷んできてきてしまうデリケートなものですが、これを液体凍結によって高品質を維持した状態で冷凍保存が出来れば良いのではないかと思い、凍結テストを実施してみました。
目 次
イチゴの急速凍結試験条件
- ① 凍結装置:液体凍結試験装置
- ② 商品投入温度:約14℃
- ③ 凍結時間:約31分(マイナス18℃まで)
- ④ ブライン温度:マイナス30℃
- ⑤ 包装形態:脱気包装
液体凍結時の包装形態は、本来空気をほぼ含まない真空包装が好ましいのですが、いちごは軟らかく潰れやすいので脱気包装で体凍結テストを実施します。 |
急速凍結試験
イチゴをブライン液に浸漬させた状態 |
ブライン液温は約マイナス30℃で実施 |
アルコールブライン液にいちごを浸漬させて凍結試験スタート。ブライン液の温度はマイナス30℃にて自動制御されている状態です。さらにブライン液は槽内で撹拌装置により常に対流させている状態ですので、効率良く熱交換が行われています。
いちごの急速凍結試験の結果
芯温センサーでいちご中心温度を測定
凍結完了後のいちご断面
凍結試験の結果は良好で、氷結晶生成帯(-1~-5℃)温度を約6分程度で通過させる事ができたために、いちごの細胞破壊が最小限でドリップ量も通常の緩慢凍結と比較すると減少効果が見られました。
急速液体凍結装置について
基本的には果物などの水分を多く含むものは、解凍時のドリップ量が多く味や食感、風味などが落ちてしまいますが、液体による急速凍結処理を行うことにより細胞破壊を最小限に抑えることでドリップ量を少なくし、凍結前の状態により近づけることが可能です。
エアーブラスト式と液体凍結式を比較すると、液体凍結の方が圧倒的に熱伝導率が高いため商品の細胞破壊を最少にできるので、より鮮度を保つためには液体凍結式の方が有利だと考えられるでしょう。
液体凍結で冷凍保存しておけば旬をずらした付加価値販売など、さまざまな事に応用が可能で皆様のお役に立てるものと思います。
芯温センサーでいちご中心温度を測定
凍結完了後のいちご断面