セレウス菌の死滅条件 セレウス菌食中毒の原因と予防
セレウス菌の死滅条件 セレウス菌食中毒の原因と予防
セレウス菌(Bacillus cereus)は、土壌細菌の一種で、土壌、空気及び河川水等の自然環境に広く分布し、農産物・畜産物・水産物などの食品、特に穀類、豆類、香辛料などの汚染が多いと言われています。

また、セレウス菌は、ウエルシュ菌、ボツリヌス菌などと同様に芽胞形成菌と言われる特殊な細菌で、育成環境が不利になると細胞内部に芽胞を形成し、100℃/30分の加熱でも死滅しないほど極めて高い耐久性を持ちます。

今回は、セレウス菌の死滅および育成条件とセレウス菌による食中毒について解説いたします。

セレウス菌(Bacillus cereus)

出典:東京都健康安全研究センター

セレウス菌食中毒の特徴

一般名:セレウス菌
菌種名:Bacillus cereus
染色性:グラム陽性
酸素要求性:通性嫌気性
形 状:桿菌
芽胞形成:形成する

嘔吐毒や下痢毒を産生する菌株が、食品中や腸管内で増殖するときに産生します。

嘔吐毒(セレウリド):嘔吐型食中毒

菌が食品中で増殖するときに産生する(食品とともに嘔吐毒を摂取することにより、嘔吐型食中毒が発生)
嘔吐毒は、121℃で30分の加熱、4℃で60日間の冷蔵、pH 2~11の条件下でも安定

(FDA.2012)

環状ペプチドで、消化酵素や熱、酸・アルカリにも安定

(国立感染症研究所)

下痢毒:下痢型食中毒

食品とともに摂取された菌が、腸管内で増殖するときに産生する。高分子タンパク質である

(FDA.2012)

ペプシンやトリプシンなどの酵素や、60℃以上の加熱、pH4以下の酸性条件などによって失活する

(国立感染症研究所)

セレウス菌の死滅条件

豚肉の場合
増殖型(栄養型)
\(D_{55} = 6.4 min\)(6D:38.4分 , 7D:44.8分)
\(D_{60} = 1.0 min\)(6D:6.0分 , 7D:7.0分)
\(Z = 6.6 ^\circ C\)

芽胞型(耐久型)
\(D_{85} = 29.5 min\)(6D:177.0分 , 7D:206.5分)
\(D_{90} = 10.1 min\)(6D:60.6分 , 7D:70.7分)
\(D_{95} = 2.0 min\)(6D:12.0分 , 7D:14.0分)
\(Z = 8.6 ^\circ C\)

(OWL)

※D値は、菌株量、pH、脂肪量、水分活性その他の要素で異なります
※D値は生菌数を1/10に減らすために必要な時間です
※Z値は加熱時間D値を1/10 する為に必要な温度です
※6D:6D reduction、7D:7D reduction

セレウス菌の発育条件

発育条件 発育至適条件
温度域 pH域 水分活性 温度域 pH域 水分活性
セレウス菌 4~55℃ 4.3~9.3 0.92 28~35℃ 6~7 0.98

発育条件(FDA)、発育至適条件(農林水産省)

7.5%の食塩存在下でも発育できる。(FDA.2012)
4~10℃の低温でも増殖する菌株が存在する。(EFSA.2005)

※pH:1~14まであり、pH7が中性、7未満が酸性、7を超えるとアルカリ性となります。
※水分活性:食品の水分は%で表さないで、食品中で微生物が生育するために利用できる水分割合を示す水分活性Aw(Water activity)として表示されます。

セレウス菌食中毒の潜伏期間

嘔吐型食中毒の潜伏期間は0.5~6時間となります。
下痢型食中毒の潜伏期間は6~15時間となります。

セレウス菌食中毒の汚染経路

セレウス菌食中毒は、セレウス菌に汚染された食品を摂食することによって発症するもので、嘔吐型下痢型の2つがあります。

嘔吐型食中毒は、食品内でセレウス菌が増殖し産生された嘔吐毒素(セレウリド)を摂取することにより発症するもので、日本で発生しているセレウス菌食中毒のほとんどは嘔吐型食中毒になります

一方、下痢型食中毒は食品とともに摂取したセレウス菌が人体の腸管内で腸管毒素(エンテロトキシン)を産生することにより発症するものです。

日本におけるセレウス菌食中毒の原因食品は、穀類及びその加工品(焼飯類、米飯類、麺類等)が最も多く、次いで複合調理食品(弁当類等、調理パン)です。その他には、魚介類・肉類・卵類・野菜類及びその加工品、乳及び乳製品、菓子類が原因食品となった事例もあります。

嘔吐型食中毒に多い食品は、焼飯、ピラフ、焼きそば、スパゲッティなど
下痢型食中毒に多い食品は、弁当、プリン、ソーセージ、肉類、野菜など

セレウス菌食中毒の発症菌数

嘔吐型、下痢型ともに推定発症菌量は\(10^5~10^8\)CFU/gとなります。
嘔吐毒素(セレウリド)の最小発症量は約1μg 程度と推定されています。

※CFU/g:CFU(Colony Forming Unit)は菌量の単位で、1g中の菌の個数を表します。

セレウス菌食中毒の主な症状

嘔吐型は、0.5~6時間の潜伏期間を経て、吐き気や嘔吐の症状を6~24時間発症します(黄色ブドウ球菌食中毒の症状と似ている)。

下痢型は、8~16時間の潜伏期間を経て、腹痛を伴う水様性下痢の症状を12~24時間発症します(ウェルシュ菌食中毒の症状と似ている)。

(FDA.2012)

セレウス菌食中毒の予防

セレウス菌は耐熱性の芽胞を形成するため調理温度では死滅しません。
加熱調理された食品でも室温で放置すれば芽胞が発芽し増殖型(栄養型)に変化してしまいます。

したがって、セレウス菌食中毒の予防には以下が有効とされます

セレウス菌食中毒の予防

  1. 食材は十分に洗浄してから使用する
  2. 加熱調理前の食材は室温で長時間放置せず冷蔵庫で保管する
  3. 加熱調理の際は十分に加熱し芽胞以外の菌(栄養型)を死滅させる
  4. 加熱調理後に保存する場合は、小分けして急速に冷却し、2時間以内に冷蔵庫へ入れるか、55℃以上で保存し、保存期間は可能な限り短くする

topics

 

連続式ボイルクール/殺菌洗浄

「ボイル+冷却」「洗浄+殺菌」「加熱+殺菌+すすぎ」等を連続処理する安全で効率の良い装置があります。
加熱温度・時間、冷却温度・時間、殺菌時間、洗浄時間など希望通りの仕様にて格安で製作可能です。

根菜、果実、農産物などの加熱冷却の他、調理加工品、ゼリー等の調理及び加熱殺菌に最適。また、「セリウスソフト水生成装置」を利用した連続式殺菌洗浄装置としても実績があります。

 
 
(参考文献)

NIID 国立感染症研究所 セレウス菌とは
IDSC 国立感染症研究所 感染症情報センター LASR
MAFF 農林水産省 リスクプロファイルシート セレウス菌
FSC 食品安全委員会 ファクトシート セレウス菌食中毒 (Bacillus cereus foodborne poisoning)
東京都福祉保健局 セレウス菌(Bacillus cereus)
MHLW 厚生労働省
JFHA 公益社団法人日本食品衛生協会
JFIA 一般財団法人食品産業センター 危害要因管理

World Health Organization(WHO)
Food and Drug Administration(FDA-United States)
European Food Safety Authority(EFSA-European Union)
Ministry for Primary Industries(MPI-New Zealand)
Data sheet on foodborne biological hazards(anses-France)
U.S. DEPARTMENT OF AGRICULTURE(USDA-United States)
Centers for Disease Control and Prevention(CDC-United States)
European Centre for Disease Prevention and Control(ECDC-European Union)
National Center for Biotechnology Information(NCBI-U.S. National Library of Medicine)
The International Commission on Microbiological Specifications for Foods (ICMSF-the Commission)
Public Health England(PHE-England)

Lemgo D- and z-value Database for Food(OWL University of Applied Sciences and Arts)
Hazard Analysis and Risk-Based Preventive Controls for Human Food:Draft Guidance for Industry(FDA.2016)
European Food Safety Authority(EFSA Search.Bacillus cereus)
Bacillus cereus spore forming(MPI.2015)
Risk profile: Bacillus Cereus in dairy products(MPI Technical Paper No: 2016/58)
Risk Profile: Bacillus cereus in rice(NZFS scientific services.2004)
Data sheet on foodborne biological hazards : "Bacillus cereus"(anses.2011)
USDA Search.Bacillus cereus(USDA)
The Bacterial Diversity Metadatabase:Bacillus cereus 13, 971, Ford 13, Gibson 971(BacDive)

 
 

連続式ボイルクール装置の施工事例
連続式ボイルクール装置

連続ボイルクール装置 BC-4000
ボイル殺菌&冷却を連続して行うため大量処理を高効率で実現!
ポンプ循環方式で温度ムラ無し!商品の品質向上に抜群の威力です
商品が入った樹脂コンテナ等をそのままゴンドラへ乗せるだけで、ボイル&冷却工程が連続して行われるため高効率・省力化が実現できます。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事