A型肝炎ウイルスの死滅条件 A型肝炎ウイルス食中毒の原因と予防
A型肝炎ウイルスの死滅条件 A型肝炎ウイルス食中毒の原因と予防

A 型肝炎は、A型肝炎ウイルス(HAV)の感染によって引き起こされる一過性の急性肝炎を主症状とする疾患です。
B型肝炎やC型肝炎とは異なり、慢性肝炎にはならないため死に至ることはほとんどありませんが、衰弱症状や劇症肝炎を起こすことがあります。

今回は、A型肝炎ウイルス死滅条件とA型肝炎ウイルスによる食中毒について解説いたします。

A型肝炎ウイルス

出典:国立感染症研究所

A型肝炎ウイルス食中毒の特徴

一般名:A型肝炎ウイルス
ウイルス名:Hepatitis A virus(HAV)
分類:ピコルナウイルス科ヘパトウイルス属
ゲノム:プラス一本鎖RNA
形 状:正20面体

A型肝炎ウイルス(HAV)は、ピコルナウイルス科のヘパトウイルス属に分類され、外被膜(エンベロープ)を持たない小さな球形(正20面体)のRNAをゲノムとするウイルスです。このウイルスは酸に強く(pH1 で2時間の処理に耐性)、アルコールなどの有機溶媒に耐性で、不活化には十分な加熱(85℃1分以上)、紫外線照射、塩素処理などが必要です。

口から体内に入ったHAVは、消化管を経て肝臓に到達し、そこで増殖後、胆汁とともに胆管系を経て、消化管内に排出されます。このウイルスは、胆汁及び消化管内タンパク分解酵素に耐性を示すので、消化管内で不活化されることなく糞便とともに体外に排出され、ヒトはHAVに汚染された飲食物等を介して経口感染(糞口感染)します。

A型肝炎ウイルスの死滅条件

A型肝炎ウイルス(HAV)は、85℃1分間の加熱により、感染価が\(1/10^4\)又はそれ以下となることが報告されています。
しかし、加熱による感染価の低減効果については、HAVの株間で違いがあることも報告されています。

HAVの死滅条件等に関するデータは少ないですが、「食品健康影響評価のためのリスクプロファイル 二枚貝におけるA型肝炎ウイルス(食品安全委員会.2012)」にて「各種食品中の加熱によるHAV 感染価低減率等」でまとめられています。


\(D_{63} = 0.6 min\)(6D:3.6分 , 7D:4.2分)
\(D_{72} = 0.3 min\)(6D:1.8分 , 7D:2.1分)

牛乳
\(D_{63} = 1.1 min\)(6D:6.6分 , 7D:7.7分)
\(D_{72} = 0.3 min\)(6D:1.8分 , 7D:2.1分)

(食品安全委員会.2012)

詳しくは以下をご覧ください。
食品健康影響評価のためのリスクプロファイル 二枚貝におけるA型肝炎ウイルス(食品安全委員会.2012)


\(D_{50} = 54.2 min\)(6D:325.2分 , 7D:379.4分)
\(D_{56} = 9.3 min\)(6D:55.8分 , 7D:65.1分)
\(D_{60} = 3.3~6.5 min\)(6D:19.8~39.0分 , 7D:23.1~45.5分)


\(D_{50} = 42.1 min\)(6D:252.6分 , 7D:294.7分)
\(D_{56} = 20.6 min\)(6D:123.6分 , 7D:144.5分)
\(D_{60} = 5.9 min\)(6D:35.4分 , 7D:41.3分)

ほうれん草
\(D_{50} = 34.4 min\)(6D:206.4分 , 7D:240.8分)
\(D_{56} = 8.4 min\)(6D:336.0分 , 7D:58.8分)
\(D_{60} = 4.6 min\)(6D:27.6分 , 7D:32.2分)

(MPI-ESR.2018)

-80℃ いかなる培地中でも数箇月は生残します
24℃ 糞便中で30日間生残します
4℃ ミネラルウォーター中で330日間生残します

(anses.2011)

A型肝炎ウイルス食中毒の潜伏期間

潜伏期間は2~6週間(平均4週間)となります。

A型肝炎ウイルス食中毒の汚染経路

ヒトはA型肝炎ウイルス(HAV)に汚染された飲食物等を介して経口感染します。

HAVは感染したヒトの肝細胞で増殖し、胆管を通って糞便とともに排出され、河川や沿岸海水を汚染します。

汚染された魚介類や二枚貝でウイルスが増殖することはありませんが、特に二枚貝は水中のプランクトンを餌とするため、大量の水を吸引・ろ過することによって、水中のウイルスを濃縮・蓄積します。

HAVによる食中毒事例の原因食品は、

国内感染事例:カキ以外の海産物(41.8%)、カキ(41.2%)、寿司(9.0%)、肉類(4.0%)、水(2.8%)、野菜・フルーツ(0.6%)
国外感染事例:カキ以外の海産物(35.7%)、水(33.9%)、野菜・フルーツ(17.9%)、カキ(8.9%)、肉類(3.6%)

A型肝炎ウイルス食中毒の発症ウイルス数

発症ウイルス量は明確ではありませんが\(10~10^2\)CFU/g程度と推定されています。

E型肝炎ウイルス食中毒の主な症状

2~6週間(平均4週間)の潜伏期間を経て、38℃以上の発熱、倦怠感、食欲不振、嘔吐、黄疸、肝腫大などの症状が現れます。

小児では不顕性感染や軽症で済むことが多く、年齢と共に顕性感染の割合が増えます。

一般的には、1~2 か月で回復しますが、高齢者が感染し発症すると重症化する傾向があるため注意が必要です。

A型肝炎ウイルス食中毒の予防

A型肝炎ウイルス(HAV)に汚染された飲食物の摂取や感染している調理者からの二次汚染に注意しましょう。

特に、魚介類や東南アジアなどA型肝炎流行地域からの輸入食材を取り扱う際は、交差汚染に注意するとともに、十分な加熱調理を行いましょう。

A型肝炎ウイルス食中毒の予防には以下が有効とされます

A型肝炎ウイルス食中毒の予防

  1. 黄疸や腹痛等の肝炎を疑われる者は調理に携わらない
  2. 十分に加熱(中心温度85℃で1分以上)すること
  3. 生の魚介類と加熱済みの食品を分け交差汚染を防止する
  4. 調理開始時等の手洗いや消毒を徹底する

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(参考文献)

NIID 国立感染症研究所 > A型肝炎とは
IDSC 国立感染症研究所 感染症情報センター LASR
MAFF 農林水産省 食品安全に関するリスクプロファイルシート A型肝炎ウイルス
FSC 食品安全委員会 食品健康影響評価のためのリスクプロファイル 二枚貝における A型肝炎ウイルス
FSC 食品安全委員会 ファクトシート A型肝炎(Hepatitis A)
東京都福祉保健局 A型肝炎ウイルス
MHLW 厚生労働省
JFHA 公益社団法人日本食品衛生協会
JFIA 一般財団法人食品産業センター 危害要因管理

World Health Organization(WHO)
Food and Drug Administration(FDA-United States)
European Food Safety Authority(EFSA-European Union)
Ministry for Primary Industries(MPI-New Zealand)
Data sheet on foodborne biological hazards(anses-France)
U.S. DEPARTMENT OF AGRICULTURE(USDA-United States)
Centers for Disease Control and Prevention(CDC-United States)
European Centre for Disease Prevention and Control(ECDC-European Union)
National Center for Biotechnology Information(NCBI-U.S. National Library of Medicine)
The International Commission on Microbiological Specifications for Foods (ICMSF-the Commission)
Public Health England(PHE-England)

Lemgo D- and z-value Database for Food(OWL University of Applied Sciences and Arts)
World Health Organization Fact sheets Hepatitis A(WHO.2019)
FDA Investigates Outbreak of Hepatitis A Illnesses Linked to Raw Scallops(FDA.2016)
Hepatitis A virus - Microbial pathogen data sheet(MPI-ESR.2018)
Genetic Diversity of Hepatitis A Virus in China: VP3-VP1-2A Genes and Evidence of Quasispecies Distribution in the Isolates(NCBI PLoS One. 2013)
Scientific Opinion on an update on the present knowledge on the occurrence and control of foodborne viruses(EFSA Journal 2011;9(7):2190)
Data sheet on foodborne biological hazards :Hepatitis A virus(anses.2011)
USDA Search.Hepatitis A(USDA)
Centers for Disease Control and Prevention.Hepatitis A(CDC-United States)
Surveillance for Viral Hepatitis ? United States, 2013(CDC-United States)
GUIDELINES ON THE APPLICATION OF GENERAL PRINCIPLES OF FOOD HYGIENE TO THE CONTROL OF VIRUSES IN FOOD CAC/GL 79-2012(CODEX.2012)
Hepatitis A in the EU/EEA, 1975-2014(ECDC SURVEILLANCE REPORT)

 
 

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